2010/10/05

国際福祉機器展シンポジウムレポート

第37回 国際福祉機器展 H.C.R.2010国際シンポジウム
「ヨーロッパの医療制度改革の動向と評価」

福間由香利

①構成
 Ⅰ.3種類の医療制度
 Ⅱ.医療制度の運営方法
 Ⅲ.制度ごとに異なる成果
 結論:医療制度に関する相互に矛盾する4つの目的 

 要点
Ⅰ.これまでの医療政策の目的を振り返ると
1.疾病に陥った低所得者に対する支援
2.疾病に陥り、就労不能となった給与所得者の所得保障
3.国民全員に対する医療サービスの提供の約束

 同じゴールを目指すが、そのための道筋はさまざま
1.公共型の医療制度(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、イギリス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの各国の一部)
 →患者の移動を制御  直接専門医にかかることはできず、一般開業医を必ず経由しなければならないため、待機患者も多い
2.医療保険型の医療制度(ドイツ、フランス、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルグ。程度は低いが日本、オランダ、中東・東ヨーロッパの一部諸国)
 →複数の医師、医療を洗濯できる はしご受診
3.自由形/最貧者救済型の医療制度(主に米国。中東・東ヨーロッパと中南米の一部諸国も改革の結果としてこの制度を採用)
 弱者救済制度
・国が採用する医療制度の組織形態により、発生する問題や得られる成果は異なる

Ⅱ.
 医療サービスのあり方
・医療サービスの提供者が公共の場合と民間の場合
  医療保険型の外来診療は民間が供給。一般医(家庭医)と専門医
・医療制度が負担する費用とは?
公共型-予防医療重視 医師の医療にも、予防医療が関係してくる
外来医療-治療重視
  医師が多く、病床少ない国が多い
  日本は病床が多く、医師が少ない
 
 医療サービスの財源
・医療制度の財源
 税金、普通所得税(再分配効果)あるいは地方税(不公平感?)  公共型-税金
 社会的拠出と労働コストの問題
 患者の自己負担
・医療サービスの提供者に対する報酬
 医師の報酬
 「出来高制」でない賃金、定額の報酬制度
 医療サービスの提供頻度によって「膨張」する報酬
  公共型-事前予算型 医療費総額、管理しやすい
        医師に登録している患者の人数によって報酬額が決まる
        きちんと診てもらえないという患者の声が多い
   医療型-事後に決められる総額 財源では管理しずらい
        医師に対して出来高払い←患者の洗濯の自由
        何回診察したかで報酬決まる→不必要に支出が増えることも
 医療サービスに関する組織と調整
・3つの調整モデル
政府による調整(行政指導、拘束力に限界)
交渉による調整(医療費が膨張する恐れ)
市場による調整(厳しすぎるほどの不公平感)

Ⅲ.
 医療制度を評価する際の4つのおもな指標  何を期待できるか
医療アクセスの平等性  公共型では豊な者、そうでない者の格差が少ない
医療費の管理  コストがかかりすぎず、安価である
国民の健康状態  医療健康が貢献しているか
利用者の満足度(国民、医師、患者)

国民の健康状態
 アメリカは一人当たりに対して医療費が多くかかっているのに、寿命が短い
 どれだけ医療費を多く使っても、健康でいられるわけではない
 予防医療を推進することで、大きな病気にかかりにくくしている

医療制度に関する政策と改革に関する4つの側面:相互に矛盾する4つの目的
           医療サービスの利用面に関する平等性
     医療サービスの質    ◇    財政面の健全性
                関係者の自由度
   4つの相反する条件を全て叶えることは不可能で、万人が満足できるものはない
我が国では…
 財源が大幅に足りていない
 医療に対しては良い点数をもらえたが、サービス維持が難しくなってきている
 医療を多く受診すれば財貨は減る⇔医療機関はもっと受診するよう誘引しようとする


医療従事者
 日本では救急・産科・小児医療従事者が少なすぎる 医療の崩壊と言われているが…
 国民一人当たりの受診回数は世界トップクラス
 政治的なものも関係してくる
 医師の質の向上 今後は総合医、家庭医の需要が増える


感想
同時通訳だったため、はじめの方は聞きとりにくく、話すスピードもかなり速かったので、理解するのが少し難しかったです。
国によって医療制度は違い、どの国も満足度を与えることは難しく、もし満足度が高かったとしても必ずしも国民が病気にかかりにくいということや寿命が長いとは限らないということがわかりました。
医療制度も、万人が満足するものはできないというのも、4つの相互関係を見るとわかりやすく、納得できました。