2011/07/02

プロの介護士は涙を流してはいけないのか

こんにちは。えのです。
僕は今まで仕事中に泣くヘルパー仲間に対して、「そんなことで、いちいち泣くなよ。」と一蹴してきました。

きっと、涙が出てしまうのは、人や仕事に対して本気で向き合う気持ちを持って臨んでいるからだとは思うのですが、泣いてはいけないと思うのは、感情を乱すことで冷静な判断が出来なくなったり、周囲に気を遣わせてしまったり、周囲を動揺させたり、迷惑を掛けたりしてはいけないと思うからです。

ですが、そんな私も先日あった悲しい別れで、周囲につられて涙を流してしまいました。
自分がこらえきれなくなって考え始めるのも身勝手な話ですが、改めて「それでもプロの介護士は涙を流してはいけないのか」と考えさせられました。

その人が亡くなってから、ことあるごとにその人とのたくさんの思い出を想い出し、「あんなことが出来てすごく喜んでくれたな。」「あそこに行きたがっていたのに、結局連れて行ってあげられなかったな。」と一緒に過ごせた時間のたくさんの楽しい思い出と後悔が今も走馬灯のように駆け巡っています。

楽しい思い出と後悔が入り混じって、とても複雑な感じでいるのですが、その中で直感的にですが、確信に近いものとして感じていることがあります。
それは「僕らの仕事の価値は人をどれだけ幸せにできるか、笑顔を増やせるかにある。」ということです。

僕らの仕事はケアプラン通りに食事を食べてもらい、おトイレを済ませ、お風呂で体をきれいにするだけでは、全ての人を幸せにできたり、笑顔を増やせません。
一人ひとりの身体の状況、家庭環境、生活習慣、価値観、その人が今、何を考えているか等を見つめ、真摯な姿勢でその人の幸せや笑顔を考えることで、初めて幸せにできたり、笑顔を増やせると思います。

でもそれは、言葉でいうと簡単なことですが、とても難しくて地道で心の底からの努力が必要なことです。
それほどの心の底からの努力が必要なのに、悲しい別れがあっても感情を乱すなというのは、ちょっと無理のような気がしてきました。
自分がこらえきれなくなって、こんなこと言い始めるのも身勝手な話なのは、重々承知なのですが…。

なので、涙を流すものがいたら、仕事をきっちりやれていればですが「このヘルパーは利用者に真剣に向き合おうとしているんだと思って温かく見守って頂けたら」というのが、甘えてしまっているようで言いづらいのですが本音です。
そこまで向き合って介護の仕事をしてくれる人は、業界の宝だと思いますし。

国や行政のレベルでは財源の問題、制度の問題・・・、会社でも財源の問題、労働環境の問題、管理システムと生産性の問題・・・、いろいろあると思いますが、人を幸せにできなかったり笑顔に出来なかったら、この仕事は誰から見てもあまり価値がないように思います。
僕はやっぱりこれからも「人が人を見つめる介護」をやっていきたいです。
そう確信させられました。

最後になりましたが、心よりご冥福をお祈り致します。
一緒に過ごさせて頂いた時間は、有意義で本当に楽しかったです。
親しく感じて下さっていていても、一人の介護士として接して下さって頂いたおかげで、たくさんのことを学ばせて頂くことが出来ました。
本当に感謝しています。
とうとう叶いませんでしたが、本当は利用者と介護士という関係でなくて体が許せば、たくさん一緒にお酒を飲みに行きたかったです。
いつか遠い将来に僕が天国に行った時は、利用者と介護士の関係ではないですし、お体も元気でしょうから、遠慮なく誘わせて頂きます。
大変お世話になりました。
ありがとうございました。